大阪からたった2,500円で海を渡り、徳島へ。クレカ1枚で乗れる南海フェリーと、地元グルメを楽しむひとり旅に出てきました。
今回は徳島市内編。ひょうたん島クルーズやローカルな徳島ラーメン、そして予想外のトラブルまでリアルな旅の記録をまとめています。
旅の始まりは、朝そばの出汁の香りから
旅の始まりはいつも、胃袋から。大阪難波を7時10分発の特急サザン号で出発するこの旅、乗る前にまず腹ごしらえをしたい。でも難波の朝は意外と遅い。ほとんどの駅そばが7時オープンで、それじゃ間に合わない。
そんなとき、南海通りで見つけたのが6時半から開いている立ち食いそば「松屋」。少し肌寒い朝の空気の中、漂ってくるカツオと醤油の出汁の香りに、一気に旅モードのスイッチが入った。


熱い蕎麦をすすって、さらにすぐそばの7時オープンのスタバでホットコーヒーを調達。この2段構えで完璧な出発準備が整った。

クレカをタッチするだけ!「好きっぷ」が便利すぎた
今回は「好きっぷ」を利用。特別な切符を買う手間は一切なく、改札でクレジットカードをタッチするだけで徳島まで2,500円で行けてしまう。

特急サザンに乗り込み、終点の和歌山港へ。

到着するとそのままボーディングブリッジを通って南海フェリーに乗船——ここでもクレカをタッチするだけ。
切符も財布も出さずに本州を脱出できる、なんともスマートな旅のスタートだった。

南海フェリー、ひょっとしたら「最後のチャンス」かも
南海フェリーは初めての乗船。どうも近い将来なくなってしまうらしい。ゴールデンウィークとあって船内はかなりの混雑で、船内の席には全く座れなかった。

乗船後は、船内をあてもなくウロウロ。普段あまり船に乗らないこともあって、それだけで妙にテンションが上がる。
デッキに出て海風に当たりながら、意外と近くに見える神話の島・淡路島や、行き交うタンカーをぼんやり眺める時間も悪くない。そんな感じで過ごしているうちに、約2時間で徳島港に到着した。

下船後は人の流れに乗ってバスに乗車し、10分ほどで徳島駅へ。大阪難波から迷いもなく、12時前に徳島駅に到着。

幻になった徳島ラーメン
午後3時から雨の予報。今回の旅は時間との勝負。
まず向かったのはひょうたん島クルーズ——が、乗り場に着いた瞬間、目の前でボートが出発してしまった。次便まで40分ある。

ならその間に徳島ラーメンを、と有名店「中華そば いのたに」へ。しかしGWの洗礼、大行列。

ここで並んでいたら午後の行程が全部崩れる。ここは潔くパスして、再び来た道を戻りクルーズ乗り場へ向かった。結果的に、この「計画変更」があとで思わぬ出会いにつながることになる。
ひょうたん島クルーズ|ソファみたいな船旅
結局、「中華そば いのたに」に行って戻ってくるだけでそこそこ時間を使ってしまい、気づけば次の便の出発5分前。ほとんど駆け込みのような形で乗り場に到着した。
それでも、乗客は私を含めて5人。ぎりぎりでも問題なく乗船できて、結果的に大きく予定を崩さずに済んだ。

徳島市街は、大きな川がいくつも流れ込む吉野川のデルタ地帯に広がっている。三角州の中に市街地が形成され、その中心となる大きな島に駅や繁華街が集まっている。この川に囲まれた島が、「ひょうたん島」と呼ばれている。

今回乗ったひょうたん島クルーズは、島の周りの川を約30分でぐるっと一周する遊覧船。市街地の中を流れる川を進むため、海のクルーズとはまた違った面白さがある。水面が比較的高いので、すぐ頭の上を橋がかすめていく。満潮だとかなりスレスレなのだそうだ。

シートはまるでソファのような乗り心地で、船長さんの案内を聞きながらひょうたん島を一周する。橋が20本もかかっているらしく、次々とその下をくぐり抜けていく感覚がなかなか新鮮だ。

最初は街中の運河を行く感じ。後半、海に近づくにつれて視界が一気に開け、景色の印象もがらりと変わる。ソファに身を預けながら、水面と同じ目線で街を眺める時間は、どこか不思議で心地よかった。
下船のとき、クルーズのスタッフの方に「行列でラーメン食べ損ねてしまって」と話したところ、地元の人がよく行く老舗を教えていただいた。しかも場所が近い。こういう旅の「生の情報」が、実は一番価値がある。
料金:大人600円/所要時間:約30分 ※最新情報は要確認
※最新の運航情報は公式サイトをご確認ください。(ひょうたん島クルーズ公式サイト)
地元民の情報で辿り着いた、本物の徳島ラーメン「一福」
教えてもらったお店は、クルーズ乗り場からほど近く、両国橋を渡ってすぐ。いかにも町中華といった佇まいの老舗だ。
銀座一福 本店

一組待ちで、5分ほどで入店。運ばれてきたのは「中華そば」。
徳島では、昔から親しまれているラーメンを「中華そば」と呼ぶらしい。そこに生卵を落としたものが、いわゆる名物「徳島ラーメン」と呼ばれている。
目の前に現れたのは、茶褐色のスープに甘辛く炊かれた豚バラがたっぷりとのり、中央には生卵が鎮座する一杯。まさに徳島ラーメンといった見た目だ。

まずはそのままひと口。ガツンとした醤油のコクと、豚バラの脂の甘みが広がる。
そして半分ほど食べたところで、生卵をそっと崩す。濃かったスープが一気にまろやかになり、味の印象ががらりと変わる。この変化がたまらない。
行列の有名店を外して正解だった、と心から思った。クルーズのスタッフに、本当に感謝。
眉山ロープウェイは「強風のため運休」
ラーメンで腹を満たし、次は眉山ロープウェイへ。吉野川デルタの絶景を楽しみにしながら徒歩10分、阿波おどり会館に到着。



チケットを買おうとしたら、券売機の前に「強風のため運休」の文字。
雨予報ばかり気にしていたら、まさかの「風」に足をすくわれた。眉山の景色は次回への宿題になってしまった。
仕方なく館内の阿波おどりミュージアムへ。歴史の展示で知ったのだが、昔は誰でも阿波踊りを踊れたわけではなかったらしい。特に武士は気軽に参加しにくい立場だったようだ。これは意外な発見。展示自体は20分ほどで全部見られてしまって、値段の割には少しあっさりした印象だったけれど。
阿波の国にも「ういろう」があるらしく、気になってお土産に「あわういろう」を購入。マンホールカードもゲットして、会館をあとにした。マンホールカード一覧


徳島眉山天神社
眉山の麓、阿波おどり会館のすぐ隣に、徳島眉山天神社が鎮座していたので、立ち寄って挨拶をしてきた。こうして旅先では、その土地の神社やお寺にお参りするのがちょっとした習慣になっている。
境内に入ると、菅原道真公の像が目に入る。学問の神様として知られているが、七五三詣ののぼりも立っていて、境内は思いのほか賑わっていた。
お参りを済ませ、御朱印もいただく。ロープウェイは残念ながら運休だったが、これで徳島市内の観光はひと区切り。そう思いながら、徳島駅へと向かった。


電車が走っていない県で、ディーゼル列車に揺られる
徳島駅に戻ると、鳴門行きの列車まで50分ほどある。
駅の裏手の徳島城跡を少しだけ散策することにした。跨線橋から見下ろすと、ディーゼル列車がずらりと停まっている。徳島県は日本で唯一、電車が走っていない県なのだという。小学生だった自分が四国を訪れたときの記憶が蘇ってきた。

城跡には立派な石垣がいくつも残っていて、かつてどれほど大きな城だったのかが想像できる。
時間があれば、徳島市立徳島城博物館にも立ち寄ってみたかったが、今回は鳴門に用がある。眉山ロープウェイとともに、またの機会にすることにした。

ローカル列車で鳴門へ
鳴門行きの出発時刻が近づいてきた。駅のスタバでホットコーヒーを調達。スタバの徳島スタンプも無事ゲット。すでにホームで待機していたいかにもローカルなディーゼル列車に乗り込む。

窓の外を徳島の景色が流れていく中、さっき購入した「あわういろう」を取り出す。名古屋のものより、味が濃くて、もっちりとした食感。スタバのコーヒーと絶妙に合う。

ガタゴトと揺られながら、小一時間の列車旅。車内は意外にも、地元の高校生や買い物客、観光客でそこそこ賑わっている。
空は今にも雨が降り出しそうだが、なんとか持ちこたえている。鳴門でやることがある。
鳴門編につづく
まとめ|徳島市内編
朝の立ち食いそばから始まり、フェリーで海を渡り、クルーズにラーメン、そして思わぬ運休まで。
徳島市内の半日は、予定通りにいかないことの連続だったが、なかなか楽しかった。

その場で選び直した行動が、結果的にいい方向に転がってくれた。徳島ラーメンの隠れた名店に出会えたり、何気ない景色に気づけたりするのも、こういう旅の面白さだと思う。
2,500円でここまで楽しめるルートとしても、かなり満足度は高い。徳島市内はコンパクトで回りやすく、短時間でもしっかり旅した感が味わえるのも魅力だった。
眉山ロープウェイや、今回回りきれなかった博物館もあるので、一泊してゆっくり巡るのも良さそうだ。阿波おどりのシーズンには街全体が盛り上がるそうなので、次はぜひ夏に訪れてみたいと思った。
鳴門編につづく

