息子と一旦お別れして、和田岬をあとにし、次は灘方面へ。
神戸といえば「灘の酒」が有名。せっかくなので、神戸街めぐり1dayクーポンを活かして、酒蔵めぐりをしてみることにした。
灘五郷と呼ばれるこの地域には、昔から数多くの酒蔵が立ち並び、日本一の酒どころとして知られています。
その中でも今回は、阪神沿線でアクセスがよく、徒歩でも立ち寄れる「白鶴」「菊正宗」「浜福鶴」の三つの酒蔵をめぐってみた。
白鶴酒造資料館
高速神戸駅から、阪神電車を乗り継いで、阪神住吉駅に到着。意外にも降りる人は少なめで落ち着いた雰囲気。


駅からまっすぐ南へ歩いて国道43号線を渡ると、「ハクツル」の大きな建物が見えてきた。

白鶴酒造資料館
駅から10分もかからず「白鶴酒造資料館」へ到着。
資料館の前には駐車場もあって、車できても大丈夫そう。
入場料はもちろん無料。
白鶴は、子どものころからCMでもよく流れていて、私にとっても馴染みの深いお酒。
江戸時代から約300年近く続く、歴史ある老舗の酒蔵です。
私自身も、冬になるとよく白鶴を手に取ることがあるような。安定の味わいで、昔から親しまれているイメージ。


資料館はかなり広く、洗米・蒸米から上槽(じょうそう)・貯蔵まで、酒造りの工程が順を追って展示されていてわかりやすい。




実際に使われていた道具や木桶がそのまま並び、一本の日本酒ができるまでに、どれだけの手間と時間がかかっているのかがよく分かります。


20分程かけて、資料館を一周。やはり美味しいお酒をつくるには、長い工程と手間がかかるということがよく分かる。
江戸時代の酒造りは、今のように温度管理の設備もなく、樽もすべて手づくり。想像するだけでも本当に大変だったのだろう。
そして試飲コーナー。ここでは白鶴の出来たてのお酒を試飲することができました。
売店には、ワンカップのような手頃なサイズのお酒がずらりと並び、見ているだけでも楽しい。
お土産に3種類買って大満足。


次は、そのまま歩いて菊正宗酒造へ向かう。
菊正宗酒造記念館
灘五郷
御影郷から魚崎郷
白鶴酒造からまっすぐ東へ歩いていくと、遠くに大きなタンクが見えてきた。
道標には「魚崎郷(うおざきごう)」の文字。ここから先が次の酒造エリアに変わるみたい。

ちなみに、白鶴酒造があるあたりは「御影郷(みかげごう)」。
今回めぐっているのは、灘五郷のうち真ん中に位置する「御影郷」と「魚崎郷」の2つ。
灘五郷とは、神戸市東灘区から西宮市にかけて広がる日本屈指の酒造地帯で、「西郷」「御影郷」「魚崎郷」「西宮郷」「今津郷」の五つの地域のことをいいます。
西宮には、大関や日本盛、白鷹、西の方には、沢の鶴など、ホント一度は飲んだことあったりする有名どころばかり。
菊正宗の工場沿いを進んでいく。


菊正宗酒造記念館
白鶴酒造資料館から歩いて約10分ほどで到着。心配していた雨もなんとか持ちこたえてくれている。

記念館に入ってまず、見学のご案内に、「樽」と「盃」。
よく理解できないまま、受付の人に聞いてみたら、無料でガイド付きで見学ができるとのこと。
「樽コース」はもうすでに本日終了。「盃コース」で本日最終の15時40分の回に参加申込することができた。集合時間までは、しばらく記念館のなかの展示を見学。


展示コーナーには、本物の酒樽がずらりと並ぶ。
今回は見学できなかった「樽コース」は、現役の職人さんが酒樽づくりを続けている菊正宗酒造ならではの、樽づくりにフォーカスしたミュージアムとのこと。
受付の方いわく「見応えありますよ」とのことで、またここに来る理由ができてしまった。


この前、岡崎の味噌蔵「角久さん」では、樽をつくることができなくなって、異業種の技術を応用して、樽づくりに挑戦しているとか言っていましたね。これから伝統の技術を継承していくのもとても大変な時代になってきましたね。
盃展示館
さて、見学の時間がきました。どうやら見学というのは、「盃展示館」を見学できるとのこと。菊正宗酒造の方が、私を含め6名を案内してくれました。
盃展示館は、記念館のお隣の敷地の中にありました。まだ新しいらしく、中はとてもきれい。
ここに展示されている盃の多くは、もともと社員さんのコレクションだったらしい。


盃展示館は、その名のとおり「お酒を飲む器」に関するミュージアム。
盃の歴史をたどりながら、お酒の文化や時代ごとの背景をわかりやすく紹介してくれます。
器ひとつに注目してみても奥が深く、どの時代に、どんなお酒を、どんなふうに楽しんでいたのか盃を通して読み解くことができるのがとても面白い。
盃の歴史は、土器から始まり、縄文時代からお酒を作っていたということにも驚き。最初はコメではなく木の実などを発酵させてつくっていたとか。
スタッフの方も、私の質問にも気さくに答えてくれて、とてもおもしろい見学でした。

可杯(べくはい)
様々な盃があるなかで、変わり盃ということで、いくつか面白い盃もありました。
印象に残ったのは「可杯(べくはい)」。盃の底が尖っていたり、穴が開いていたり、天狗の形をしていたりと、ひとたびお酒を注いだら飲み干すまで手から離せないという面白い盃です。
縦書きの漢文では「可」は決して下に来ることがない=下に置けない、という意味からその名がついたのだとか。
昔のお酒は今ほどアルコール度数が高くなく、たくさん飲めた時代だったようです。

「くだらないもの」の由来
それから、スタッフの方から教えて頂いたことに「くだらないもの」の語源。
もともとは、江戸時代の物流用語に由来していたそうで、粗悪な盃はくだらないものだったそう。
当時、「くだる」=「上方(京都・大阪)から江戸に下る」 という言葉がありました。
つまり、「くだりもの(下り物)」とは、京都や大阪から江戸に運ばれる、品質のよい上方産の品物
を指した。
逆に「くだらないもの」=「上方から下ってこないもの」つまり、「地方で作られた品質のよくないもの」「安物」という意味だった。
こういう言葉の由来を知ると、何気ない日常語にも歴史があるんですよね。ちょっとした豆知識が増えて、こんな見学は楽しい。

〇〇正宗の由来
そしてもう一つ、お酒の名前でよく見かける「〇〇正宗」という名前。その由来が意外でした。
ここ「菊正宗」や、この後行った「櫻正宗」など、日本各地に「〇〇正宗」という銘柄がたくさんあります。
その始まりは、ある蔵元が親交のあった住職から、仏教経典の「臨済正宗(りんざいしょうしゅう)」の「正宗(しょうしゅう)」と「清酒(せいしゅ)」の読みが似ていることから授かったのがきっかけだとか。確かに、ご利益がありそう。
これが評判を呼び、大ヒット。そのご、名刀の「正宗(まさむね)」にちなんで「まさむね」と読むようになり、全国に広まったといわれている。
菊正宗酒造では、「正宗」は広く一般的に認知されており、他の蔵と区別をつけるため、頭に「菊」を付けて「菊正宗」としたそうです。

たまたまだけど、我が家の宗派も臨済宗。まさか宗派つながりで日本酒と縁があったとは。
菊正宗試飲会
さて、盃展示館で、盃の知識を得たところで、記念館に戻り、見学の締めくくりは試飲会。
お酒は、器でも味が変わるということで、2種類の盃で用意してくれました。口の広い浅めの盃と、深めのお猪口。
さて、飲んでみると、確かに!!
全然味わいが違う。浅い盃だとキリッと、深いお猪口だと香り深く楽しみながら飲む感じ。
器ひとつで、こんなに変わるとはちょっと驚きでした。

お猪口の丸い二重丸の意味
ここで、お猪口の青い二重丸。よく見るし、どういうの意味なのか、気になって質問してみました。
実はこれ、お酒の品評会で使われるマークで、味や香りだけでなく、濁り具合や透明度を確認するために描かれているのだそう。
なるほど、ちゃんと実利目的のあるマークなのね。また知識が一つ増えた。
最後に、ここでも、お土産コーナーでワンカップサイズの菊正宗をゲット。次の櫻正宗へ向かいます。
化粧水もあった櫻正宗酒造
いや~菊正宗とてもおもしろかった。時間はもう16時30分。魚崎駅に向かう間にもう一件、櫻酒造さんにも、資料館があるということで立ち寄って見ました。
櫻酒造までは、六甲ライナーをくぐりながら住吉川を渡って、徒歩5分程度。めちゃ近いやん。

櫻正宗
パンフレットによると、一番最初に清酒に「正宗」を名づけたのは、ここ櫻正宗で、「正宗の元祖」らしいです。
こちらの資料室は少し小さめですが、櫻正宗を楽しめるレストランや喫茶スペースが充実していて、雰囲気がとてもいい感じ。
ショップの方に聞くと、「展示スペースは2階で自由に見てください」とのこと。
ということで2階へ上がってみると、昔の看板やラベル、写真などが展示されていて、櫻正宗の歴史を見ることができる。



あまり時間もないので、展示スペースはさらっと見学して、1階のショップでは、ワンカップサイズの「櫻正宗 大吟醸」をゲット。さくっと満足です。
今度来たら、ここではレストラに寄れるといいかも。
まとめ

ということで、朝から神戸海洋博物館にカワサキワールド、そして和田岬で兵庫津や清盛ゆかりの地、和田神社を回り、午後からは灘の酒蔵を3件巡るという、盛りだくさんの一日でした。
神戸街めぐり1dayクーポンのおかげで、電車やバスも乗り放題で、かなりお得に街歩きを楽しめたのですが・・・正直、クタクタでした(笑)。
海洋博物館とカワサキワールドでは、船や乗り物の展示をじっくり楽しんで、和田岬では、清盛塚や琵琶塚、後醍醐天皇ゆかりの薬水、そして和田神社の白蛇や御朱印と、歴史散歩も堪能できた。
午後の灘の酒蔵巡りもとてもよかった。白鶴や菊正宗、櫻正宗の資料館や展示館では、酒造りの工程や盃・樽の文化を学べ、試飲やいろんな日本酒も買えたし、特に菊正宗の「盃展示館」は奥が深くて面白かった!次は「樽酒マイスターファクトリー」にも参加してみたいです。
一日通して、少しマイナーな神戸の街歩きも、神戸街めぐり1dayクーポンがあると効率よく楽しめる。駅近でアクセスできるスポットも多く、徒歩で街並みを歩きながら、歴史と文化、そして美味しい体験も味わえてとてもおすすめです。
神戸の新しい魅力を知ることができた一日でした。それでは、また次回の神戸街歩きで!
今回のお土産たち





